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第2話 俺の家族を紹介します~一也&由香編~

01一也  「俺の名前は馬場一也。14歳の中2、サッカー部のイケメンストライカーさ☆ 家族……」

01由香  「……お兄ちゃんなにしてるの」

02一也  「おお由香! 丁度いいところに! 今視聴者の皆様に自己紹介をだな」

02由香  「もう馬鹿なことやってる暇なんてないんだから! だいたい視聴者ってなによ? ほら早くお皿片付けてテーブル拭いて!」

 

効果音 お店のドア

 

03由香  「いらっしゃいませー」

01愛美  「茜! こっち!」

01茜   「ごめん、待った?」

02愛美  「大丈夫、私も今来たとこ」

04由香  「ご注文はお決まりですか?」

03愛美  「ケーキセット、苺ショートと紅茶で」

02茜   「じゃあ私は……オススメってありますか?」

05由香  「ケーキならパウンドケーキがオススメですよ」

03茜   「じゃあそれで。飲み物は珈琲で」

06由香  「かしこまりました」

04茜   「(あれ? この子どこかで……)

04愛美  「いい感じのお店でしょ? 住宅街にひっそりと佇む隠れ家的なお店、カフェかずのこ。茜も気に入ると思うよ!」

05茜   「ねえ、今注文取りに来た子、どこかでみたことない?」

05愛美  「え? 私は知らないよ」

01馬場父 「それ、三番テーブルな」

07由香  「はーい」

06茜   「気のせい……かな」

02馬場父 「洗い物終わったら一番テーブルのセット頼むな」

03一也  「わかった」

07茜   「今の声って……」

06愛美  「そうだ茜、聞いてよ」

08茜   「え? なに?」

 

***

 

04一也  「お待たせしました。ケーキセット、苺のショートケーキと紅茶のお客様」

 

効果音 お皿

 

05一也  「パウンドケーキと珈琲になります」

09茜   「ありがとうございま……って一也!?」

06一也  「え? あ、茜じゃん! いらっしゃい」

07愛美  「あ、本当だ馬場君」

10茜   「あ、茜じゃん! いらっしゃい……じゃなくて!」

08愛美  「馬場君まさかバイト?」

07一也  「違う違う! そもそもバイトできる年齢じゃないし! ただの手伝い。ここ、俺ん家なんだ」

11茜   「そうなの? 大変だね」

08一也  「慣れてるから。父さん一人だと店も大変だからさ、時々手伝いしてんだ。うちの母さんはもう空の上で」

12茜   「空の上って……あ、ごめん、私……」

09一也  「気にすんなよ、俺が勝手に喋っただけだ」

03馬場父 「一也、友達か?」

10一也  「うん。同じクラスの茜と倉田」

08愛美  「こんにちは」

04馬場父 「いつも一也と仲良くしてくれてありがとな。そうだ、これまだ試作品だけど良かったら食べてみて」

09愛美  「わぁ! いいんですか!? ありがとうございます」

05馬場父 「ゆっくりしていってね」

11一也  「じゃな」

 

***

 

効果音 お店のドア

 

12一也  「いらっしゃいませー」

08由香  「あ! 秀君、いらっしゃい!」

01秀一  「こんにちは」

06馬場父 「お、秀君久し振りだね」

02秀一  「おじさん、お久し振りです。ショートケーキテイクアウトでいいですか?」

13一也  「ケーキ? あ、そうか! 今日賢の誕生日だな!」

07馬場父 「なに!? 賢君の誕生日! よし分かった。ちょっと待ってろ!」

 

効果音 足音

 

03秀一  「……一也、賢のことなんだけど君になにか相談とかしてない?」

14一也  「賢? 特にないけど……」

04秀一  「そっか……。一也、もしなにかあったら相談にのってあげてくれないか? 情けない話だけど僕は兄なのに賢になにもしてやれてない。相談どころか近頃じゃまともに話もしてくれないんだ」

09由香  「秀君……」

05秀一  「でも、君にならなにか話すかもしれないから、だから、だから……」

15一也  「わかった! 心配すんな、俺に任せろ!」

06秀一  「すまない。ケーキをきっかけに少しだけでも話ができるといいんだけど、受け取ってもらえるかどうか……」

10由香  「大丈夫! うちのお父さんのケーキは最高だもの! 賢君も昔から食べてるから知ってるはず! 美味しいケーキを前にして喧嘩とか無言とか、ましてや食べないなんてできるはずないわ!」

07秀一  「由香ちゃん……うん、そうだね。ありがとう」

08馬場父 「お待たせ。秀君、これ持って帰って」

08秀一  「これは?」

09馬場父 「おじさんからのサービスだ。チキンとポテト、あとミートボールとサラダね。賢君と二人で食べなさい」

09秀一  「え!? そんな!」

11由香  「お父さん、主食がないわ」

10馬場父 「はっ!? しまった! サンドイッチとナポリタン追加だな!」

10秀一  「え、ちょ……っ」

11馬場父 「はい。サンドイッチとナポリタン、ついでにスープも入れといたからね」

11秀一  「そんな、頂くわけには……」

12馬場父 「そう言われてももう詰めちゃったもーん」

12秀一  「でも……」

13馬場父 「そっか……秀君おじさんの料理本当は嫌いだったんだな……」

13秀一  「え!?」

14馬場父 「こんなの貰っても困るよね、迷惑だよね……」

14秀一  「そんなことないです! おじさんの料理とっても美味しいから大好きです」

15馬場父 「じゃ、もらってくれるよね?」

15秀一  「あ、え……その……」

16馬場父 「ね?」

16秀一  「ちゃんとお支払します」

16一也  「いいからもらっとけよ」

17秀一  「いや、でも……」

17一也  「あーもう! くれるって言うんだからもらっとけばいいだろ! ほら行った行った!」

18秀一  「一也……すみません、ありがとうございます」

12由香  「秀君またね」

17馬場父 「またいつでもおいで。今度は賢君も一緒に」

19秀一  「はい。ありがとうございます」

 

 

18一也  「ありがとうございました。(効果音 お店のドア)あ、お前らももう帰り?」

13茜   「うん、ごちそうさま」

19一也  「どうだった? うちのケーキ」

14茜   「ドライフルーツとナッツがぎっしりですっごく美味しかった!」

18馬場父 「気に入ってもらえて良かった。また来てくれると嬉しいな」

15茜   「はい。ごちそうさまでした」

 

効果音 お店のドア

 

13由香  「ありがとうございましたー」

 

効果音 電話

 

19馬場父 「はい、カフェかずのこです。 え? 本当ですか!? ありがとうございます! はい。よろしくお願いします。はい、失礼致します」

20馬場父 「一也やったぞ! 来年の抹茶フェアー、メニューの字を近所の書家の先生に書いてもらえることになった!」

20一也  「本当!? あれ? でも来年ってまだまだ先じゃん」

21馬場父 「来年の抹茶フェアーは父さん命かけてるからな! 先生には会ったことはないんだけどファンで、凄く良い字を書く人だなって思ってて、ダメもとで頼んでみたんだ!」

21一也  「やったじゃん!」

22一也  「バンザーイ!」

22馬場父 「バンザーイ!」

 

22一也、22父一緒に

 

14由香  「ちょっと! お父さんもお兄ちゃんもまだお店の営業中なんだからね! お客さんの前でやめてよね!」

23一也  「あ、ごめんごめん……」

24馬場父 「あ、ごめんごめん……」

 

23一也、23父一緒に

 

15由香  「ほら、お兄ちゃんはテーブル片付けて! お父さんはほら、オムライスの注文入ってるから」

25馬場父 「(由香、母さんに似てきたな……)」

 

効果音 お店のドア

 

24一也  「いらっしゃいませ。ようこそかずのこへ」

26馬場父 「いらっしゃいませ。ようこそかずのこへ」

16由香  「いらっしゃいませ。ようこそかずのこへ」

 

24一也、26父。16由香一緒に

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