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第7話 天野家(後編)

 

 

効果音 鳥

 

08賢二  「……ん……兄貴……?」

42秀一  「ぁ……賢! 熱は……だいぶ下がってるな。頭は痛くない? 気持ち悪かったり、怠かったりは!?」

09賢二  「いや……特にないけど? 一体どうしたんだよ」

43秀一  「お前学校早退した後のこと覚えてるか?」

10賢二  「え……? 帰ってきて、それから……あれ? どうしたんだ?」

 

効果音 インターフォン

 

44秀一  「たぶん馬場のおじさんだ」

11賢二  「え? 一也さんとこの?」

 

効果音 足音

 

 

効果音 扉

 

10一也  「賢、起きて平気なのか?」

12賢二  「えっと……」

07馬場父 「うん。顔色はだいぶいいね。お粥作ってきたからちゃんと食べるんだよ」

13賢二  「え? あ、はい……」

08馬場父 「ただ、良くなってきたからって油断したら駄目だからね」

45秀一  「何から何までありがとうございます(だんだん小さく)」

 

一父帰る

 

14賢二  「……なにがどうなってんの?」

 

***

 

数日後

 

効果音 お店のドア

 

09馬場父 「いらっしゃ……賢君!」

15賢二  「こんにちは。おじさん」

10馬場父 「体調はすっかりいいみたいだね」

16賢二  「いろいろご迷惑おかけしました。おじさんが病院まで連れて行ってくれたって聞いて」

11馬場父 「賢君が元気になったなら良かった。秀君も凄く心配してたんだよ」

11一也  「秀一、つきっきりで看病してたもんな」

17賢二  「え?」

12馬場父 「優しいお兄ちゃんだな」

18賢二  「……兄貴が……。……あの、おじさん、ケーキ1ついいですか?」

13馬場父 「賢君の快気祝いだ。サービスしとくよ」

19賢二  「いや、そういうわけには……」

09由香  「お父さん、駄目よ。賢君は秀君にお礼したいんだから」

20賢二  「な……っ」

14馬場父 「ああ! ならそういうわけにはいかないな!」

10由香  「秀君によろしくねー!」

21賢二  「そんなんじゃねーよ!」

 

***

 

in天野家

 

11秀一母 「秀ちゃん! ママからの電話もメールも着信拒否するなんてどういうつもりなの!?」

 

効果音 扉(強め)

 

46秀一  「へぇー。心当たりないんだ。子供が風邪で苦しんでたり、助けを求めてる時は帰ってこないくせに着信拒否された途端に帰ってくるなんてね」

06秀一父 「仕事はしてもかまわない。だが、子供たちをほったらかしていいとは俺は言ってないぞ」

12秀一母 「あなた……帰ってたの。別に、ただの風邪でしょう? 大袈裟よ」

47秀一  「大袈裟!? どれだけ大変だったと思ってるんだよ! 僕一人じゃ病院に連れていくこともできなくて、結局友だちのお父さんに助けてもらったんだ! お店やってる人だから土曜日も仕事だったのにお店休んでとんできてくれて、賢を抱えて車出してくれた。それだけじゃない。良くなるまで家に泊まるように言ってくれたし、ご飯作って持ってきてくれて……それに比べて母さんはななに!? 自分の子だろ! 子供をなんだと思ってるの!?」

13秀一母 「秀ちゃん……」

07秀一父 「秀一、お世話になった人の連絡先を教えてくれ。父さんからお礼を言っとくから」

 

効果音 扉(賢、帰宅)

 

08秀一父 「賢二、お帰り」

22賢二  「父さん! 帰ってたんだ。おかえり」

09秀一父 「ああ、ただいま。また背が伸びたか?」

14秀一母 「賢ちゃん……。あなたどうしたのそのチャラチャラしたカッコ!」

23賢二  「なに……いたの。別に……俺中学入ってからこんなだし」

15秀一母 「え?」

48秀一  「……やっぱり知らなかったんだ。ついでに言うと塾も行ってない。更に言えば夜家に帰らなかったことも何度もあるんだよ?」

16秀一母 「ちょ、ちょっと! どういうことなの、ちゃんと説明して!」

24賢二  「別に。説明もなにもない。そのままの意味だ。……あのさ、兄貴……これ」

49秀一  「え?」

25賢二  「いろいろ……面倒かけたな……サンキュ」

 

50秀一 泣

 

26賢二  「なに泣いてんだよ! 気持ち悪いな!」

 

***

 

 

効果音 ノック

 

17秀一母 「賢ちゃん? 晩ご飯作ったの。食べない?」

 

効果音 扉

 

18秀一母 「賢ちゃ……」

27賢二  「いらねぇよ」

19秀一母 「でも……」

28賢二  「いらねぇって言ってんだろ! しつこいんだよ! ……外で食べてくる」

 

効果音 扉(賢、出ていく)

 

20秀一母 「賢ちゃん……」

 

効果音 椅子を引く音

 

51秀一  「ま、自業自得じゃない?」

21秀一母 「そんな……」

52秀一  「今まで散々ほったらかして、賢のこと傷付けておきながらちょっと冷たくされただけで落ち込むなんておかしいんじゃない? 僕も夕飯いらない」

22秀一母 「え? ちょっと秀ちゃん!」

 

効果音 足音

 

53秀一  「母さん、少しは考えた方が良いんじゃない? 賢が栄養バランスの悪いもの食べないか心配だから僕も賢と一緒に外で食べてくる」

10秀一父 「秀一、夕飯代」

54秀一  「ありがとう」

11秀一父 「帰ってきたらちょっと賢二と話してみるな」

55秀一  「うん。できれば母さんも一緒に話してほしいんだけどな」

 

効果音 扉(秀、出ていく)

 

56秀一  「賢! 待って!」

29賢二  「なに」

57秀一  「……賢はさ、母さんのこと怒ってる?」

30賢二  「別に……怒ってるって言うか、今更構われても困る」

58秀一  「僕は怒ってる」

31賢二  「え?」

59秀一  「後で父さんが賢に話があるって。父さんとなら、賢もちゃんと話せるだろ?」

32賢二  「……あぁ」

 

効果音 エレベーター

 

33賢二  「なんで付いてくるんだよ」

60秀一  「僕も外で食べる」

34賢二  「は!?」

61秀一  「たまにはいいだろ」

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