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第14話 カフェ  かずのこへようこそ

 

 

効果音 倒れる

 

由香「お父さん? どうかし……!? お父さん!お父さんっ!」

 

効果音 救急車

 

天野母「え? 一也君のお父さん入院されたの?」

秀一「うん。一也曰く大したことないらしいんだけど、昨日は由香ちゃん取り乱しちゃったらしくて」

天野母「そう……」

天野父「秀一、泊まりに来るように誘ってみたらどうだ? 賢二が体調崩した時、色々お世話になったんだし」

天野母「そうね。それがいいわ」

賢二「やめとけ。二人を病院送りにする気か? 俺たちは多少耐性があるけど、こんな不味いもん食ったらどうなるか……」

秀一&天野父「それもそうか」

天野母「みんなして酷い!」

 

効果音 秀一の携帯

 

秀一「あれ、一也からだ。……もしもし?」

一也「あ、秀一? ちょっと頼みがあるんだけど……」

 

***

 

その頃立花家では……

 

茜母「え? 隆也君倒れちゃったの?」

茜「うん。昨日救急車で運ばれたんだって」

 

効果音 茜の携帯

 

茜「あ、一也からだ。……もしもし?」

 

効果音 足音

茜その場を離れる

 

茜父「確か馬場さんのところ、奥さんは……」

茜母「亡くなってるのよ」

祖父「じゃあ今は子供だけなのか……心配だな」

祖母「灯ちゃん、馬場さんと親しいのよね? ちょっと様子を見に行ってあげた方がいいんじゃないかしら」

茜母「えぇ。明日ちょっと行ってきます」

 

効果音 足音

茜戻ってくる

 

祖父「茜、電話一也君からだったんだろう? なにかあったのか?」

茜「え? あぁ。プリントの提出いつまでだっけ?って」

祖母「そう。なにかあったんじゃなくてよかったわね」

 

***

 

一也「よし、店開けるぞ! 今日はよろしくな!」

愛美「まっかせなさい!」

秀一「本当にいいのかなぁ。子供だけでお店開けたりして……」

一也「じゃあ持ち場の割り振りだけど……」

愛美「はいはーい! 私キッチ……」

茜「愛美はホールね」

愛美「え? 私キッチン……」

茜「ホールね!」

愛美「むぅ……」

一也「秀一はコミュ障だからキッチン確定だな」

秀一「コミュ障って……」

一也「キッチンは俺、秀一、茜。ホールは由香と知己ちゃん、倉田ってことでよろしく!」

由香「お店開けまーす」

 

効果音 ドアのベル

 

ホール組「いらっしゃいませ」

客「注文お願いします」

愛美「はーい!」

由香「注文入ります。日替り2つ」

一也「秀一、皿」

秀一「皿って……あぁ誰も洗ってないじゃないか。洗い物がこんなに」

 

効果音 レジの呼鈴

 

知己「ごめん、誰かレジお願い」

茜「お待たせしました。オムライス2つでお会計2160円になります」

客「ねえ、今日はなんだかいつもと味違わない?」

由香「ギクッ」

客2「そう言われるとそうかも」

由香「ギクギクッ!」

客2「……ま、美味しいからいいけど」

由香「ホッ」

一也「日替り、あがったよ」

由香「はーい」

 

***

 

全員「ありがとうございました」

一也「ふー。なんとか一段落ついたな」

秀一「お店って思ってたより大変だね」

知己「なにかこれを記事にしたい」

 

効果音 ドアのベル

 

由香「いらっしゃいま……」

愛美「げっ! 茜のお母さん!」

 

茜、とっさに隠れる

 

知己「生花作家の立花灯! なにかスクープゲットの予感!」

由香「知ちゃん今そういう空気じゃない……」

茜母「愛美ちゃん、エプロンなんかつけてどうしたの?」

愛美「あ、えーっと……」

茜母「一也君、お父さん倒れて入院してるんだったわよね? お店の前を通ったら札がオープンになっていたんだけれど?」

一也「えっと……そのー、それは……」

茜母「まぁ大体わかったけど。……茜! あなたも隠れてないで出てらっしゃい!」

 

***

 

茜母「まったく子供だけでお店を開けるなんて……なにかあったらどうするの!」

茜以外「ごめんなさい……」

茜母「茜、あなたもわかってるの?」

由香「あの! 私とお兄ちゃんが無理に頼んだんです。だからみんなのこと叱らないであげてください」

茜母「(溜め息)あのね、もしも火事や食中毒、怪我をするようなことになったらどうするの? 最悪お店を畳むことにだってなりかねないのよ?」

由香「あ……」

一也「すみません。今日、ケーキの予約が入ってたからどうしても店開けたくて俺が無理に……」

茜母「今から隆也君、お父さんの様子見て戻ってくるから、お店閉めて、きちんと片付けするのよ? 予約のお客さんには用意してお待ちしてます。って伝えて。ね?」

茜以外「はぁーい……」

 

***

 

茜母「……ってことがあったの」

馬場父「なんかごめんね。色々迷惑かけて、心配もかけて……」

茜母「気にしないで。元気そうで安心した。でももっと体を大事にしないとダメよ? 子供たちには隆也君しかいないんだからあんまり心配かけたら可哀想よ」

馬場父「そうだね」

茜母「じゃあそろそろ行くわね。子供たちの様子見てから帰るから」

馬場父「ありがとう。助かるよ」

 

効果音 ドア

 

馬場父「やっぱり親子なんだなぁ……。どことなく話し方が茜ちゃんとそっくりだ。ま、俺も一也とそっくりって言われるけどね。バカなところが」

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