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第12話 僕の家族を紹介します~天野家編~

 

 

天野母「秀ちゃん賢ちゃんみて!」

秀一「『僕の家族を紹介します』……賢の昔の作文じゃないか」

賢二「俺の?」

 

『僕の家族を紹介します

1年3組 あまのけんじ

 

僕の家族はお父さんとお母さん、それからお兄ちゃんと僕の4人暮らしです。

 お父さんは仕事が忙しくて家にいないこともあるのでちょっと寂しいけど、帰ってきたらいつも遊んでくれます。

お母さんは料理がとっても下手です。でもあんまり言うと可哀想なので言いません』

 

天野兄弟 笑

 

秀一「普通はお母さんは料理が上手です。って言うところだよね」

 

『友だちは給食は美味しくないって言うけれど、僕は美味しいと思います。お母さんの料理も給食くらいおいしければ良いのにといつも思います。この間ご飯の後気持ち悪くなってお父さんと病院に行きました』

 

天野兄弟 爆笑

 

天野母「賢ちゃんったらなに書いてるのよ!」

 

『最後にお兄ちゃん、お兄ちゃんはとっても頭が良いってお母さんがいつも言ってます。

でも歌がとっても下手です』

 

賢二 噴き出す

 

『お兄ちゃんの歌を聴くと何故か涙が出ます』

 

秀一「賢! お前何書いてるんだよ!」

賢二「知らねーよ! 七才の時の素直な気持ちなんだろ」

 

『僕が小さい頃、お兄ちゃんが子守唄を歌うと僕が大泣きして面白かった。ってお父さんが言ってました。ちょっと酷いと思います』

 

賢二 笑死

 

秀一「父さんっ!」

天野父「いや、悪い。一生懸命お兄ちゃんをしてる秀一に歌うなとは言えなくて、賢二が泣けば泣くほど秀一は頑張って歌うんだよ。でもそうしたら賢二はよけいに泣くだけで……今思い出しても、面白……っ(笑)」

天野母「思い出したわ! これ授業参観で読まれたのよ!」

 

天野父、賢二 笑

 

秀一「笑い事じゃないよ!」

天野母「そうよ! あなたは良いことしか書かれていないからいいでしょうけど、凄く恥ずかしかったんだから!」

天野父「賢二、母さんの料理は給食より美味しくなったか?」

賢二「やっと給食に追いついたくらいかな?」

天野母「もう! いつか絶対美味しいって言わせるんだから!」

 

 

近所の人「天野さんの家は最近賑やかになったわねぇ」

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