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第8話 七夕祭り

 

 

01馬場父「一也、由香、後は父さん一人でも大丈夫だから遊びに行って良いぞ」
01一也 「え? いいの?」
02馬場父「せっかくの七夕祭りだしな。お前たちが手伝ってくれたおかげでもう出店の準備は殆んど終わったから」
02一也 「やった!」
03馬場父「ほら、由香も」
01由香 「私はいいや。今日は知ちゃんも来ないって言ってたし」
03一也 「ならお兄ちゃんと一緒に行こうぜ」
02由香 「嫌。もうお兄ちゃんと一緒にって歳でもないし」
04一也 「そんなぁー。由香ぁ」
03由香 「もう! そんなにくっつかないでよ」
05一也 「うぅ……仕方ない。秀一と二人で行くか」
04由香 「え? 秀君?」
06一也 「うん。秀一と約束してるから」
05由香 「……行く」
07一也 「え?」
06由香 「私も行く! 浴衣着てくるからちょっと待ってて」

***

07由香 「秀君!」
01秀一 「やぁ。由香ちゃんも一緒だったんだね。浴衣似合ってるね。可愛い」
08由香 「あ、ありがとう」
08一也 「俺の妹なんだから当たり前だろ!」
09由香 「もう! お兄ちゃんなに言ってるの! 秀君、行こう」
10一也 「俺の妹が可愛いのは世界中が認める事実であって、今更改めて言うまでも……って由香! お兄ちゃんを置いてくなーっ!」

効果音 祭のガヤ

11一也 「なぁ、七夕祭りってことは短冊に願い事書けるんだよな?」
02秀一 「確か向こうの広場でやっていたはずだ」
12一也 「じゃあ願い事書きに行こうぜ!」
10由香 「ちょっとお兄ちゃん! 前みて歩かないと危ない!」
03秀一 「……どっちが年上だかわからないな」
11由香 「危ないっ!」
13一也 「え? うわっ!」

一也 転ぶ

04秀一 「大丈夫!?」
14一也 「おう、平気……」
05秀一 「君じゃない!」
01桃 「ふぇ……」
12由香 「だから言ったじゃない!」
15一也 「ご、ごめん! 怪我してないか? ……あれ? この子……」
02桃 「うぅ……ぐすっ……わーん!」(我慢していたけど泣いてしまう)
06秀一 「泣かないで。お父さんかお母さんは一緒?」
01茜  「桃!」

効果音 足音

02茜  「ごめんなさい、妹が……あれ? 天野君」
16一也 「茜! やっぱりこの子お前の妹か」
03桃  「ねえねーっ!(泣)」
17一也 「悪い。俺がよそ見しててぶつかったんだ」
03茜 「そっか。ほら、泣かないの。痛くない痛くない」
01穂 「お姉ちゃんごめん。僕が桃の手を離しちゃったから……」
04茜 「すぐに見つかったし、ちょっと擦りむいただけみたいだから大丈夫。ね?」
02穂 「うん……」

04桃 泣く

18一也 「……よし! ちょっと待ってろ」

***

19一也 「ほら、桃ちゃん」
05桃  「……うさちゃん」
05茜  「これ、どうしたの?」
20一也 「今射的で取ってきた。さっきはごめんね。大丈夫?」
06桃  「……うん。桃も前みてなかったからごめんなさい。お兄さんは大丈夫?」
21一也 「うん。俺は大丈夫だよ。桃ちゃん、このうさぎさんと一緒に遊んであげてくれないかな? 桃ちゃんと一緒に遊びたいんだって」
07桃  「……いいの? ありがとうお兄さん! 桃もうさちゃんと遊びたい!」
13由香 「この子お兄ちゃんよりしっかりしてるかも……」
22一也 「由香酷いっ! ……あ、そうだこれ。みんなで仲良く食べろよ」
01楓  「お菓子! いいの?」
23一也 「さっき射的で取ったんだ。みんなで仲良く分けて食べれるか?」
03穂  「うん! お兄さんありがとう!」
06茜  「いいの? なんかごめんね一也」
24一也 「良いって良いって。そうだ。せっかくだから一緒に遊びにいかね?」
07茜  「でも弟たちみてなきゃいけないし、一緒に連れて行くのもちょっとね……」
01茜母 「茜ー!」
08桃  「おかーさん!」
01茜父 「遅くなってごめんな」
09桃  「みてみて! おにーさんがね、うさちゃんくれたの」
02茜母 「よかったわね、桃。ちゃんとお兄さんにお礼いったの?」
10桃  「うん!」
03茜母 「ありがとう。子どもたちが迷惑かけなかったかしら?」
25一也 「いえ。元は俺がよそ見しててぶつかってしまって」
01茜母 「あら……? 君は確か前に家で……」
14由香 「あの時は兄が失礼しました」
05茜母 「いいのよー。もう済んだことだし」
07秀一 「君は一体何をしたんだ?」

26一也 口笛

02茜父 「茜、せっかくだから友だちと遊んでおいで」
08茜  「え? でも……」
03茜父 「いつも下の子たちの面倒をみてくれてありがとう。今日はお父さんもお母さんもいるから大丈夫だ。たまには自由に遊んでおいで」
06茜母 「そうよ。これ、おこづかい」
09茜  「……いいの?」
07茜母 「楓たちには内緒ね?」
02楓  「お母さんさっきから何してんの?」
08茜母 「なんでもなーい」
10茜  「ありがとう。じゃあ行ってきます!」
27一也 「よし! じゃあはやく短冊書きに行こうぜ!」



28一也 「なあ茜。お前願い事なに書くんだ?」
11茜  「え……私は……」
29一也 「なに、『家内安全』……婆くせぇ!」
12茜  「うっさい!」
30一也 「お前願い事なんかないわけ? なにか欲しいとか、美味いもの食べたいとか大会で優勝するとか」
13茜  「あんたと一緒にしないで! うちは下も小さいし、私まで我が儘言うわけにはいかないの」
31一也 「え?」
14茜  「なんでもない。そう言うあんたはなに書いたのよ? 『由香を守るヒーロー』……」
15由香 「お兄ちゃん!?」
15茜  「お前は小学生か!」
08秀一 「今時小学生でも書かないんじゃないか?」
32一也 「なんだよ! 俺の夢は今も昔もこれからもずっと由香を守るヒーローだ!」
16由香 「恥ずかしいからやめてっ!」
33一也 「秀一だって賢を守るヒーローだって前言ってただろ」
09秀一 「10年前の話をするな!」
34一也 「なんだよー今は思ってないのかよ」
10秀一 「いや、今でも思ってるけどさ」
17由香 「賢君っ守ってあげなきゃって感じじゃないような……」
35一也 「なになに……『賢と仲良くなりたい』……お前ら仲悪いの?」
11秀一 「前よりはいいよ。前は電話かけても出てくれなかったけど、最近は出てくれるし、家にも帰ってくるし話もしてくれる。でも小さい頃みたいに可愛くお兄ちゃんって呼んで欲しいなって……あの頃の可愛い賢は何処に行ったんだろう。いや、今も昔も賢は可愛いんだけどさ。わかってるんだけど、もうちょっとかまって欲しいって言うか、かまいたいって言うか。だって本当に可愛いんだよ賢は」

16茜爆笑

36一也 「……秀一、だからお前賢に嫌われるんだよ」
12秀一 「一也だけには言われたくないよ!」

17茜爆笑

18茜  「天野君って……話してみると、面白いんだね……っ」
13秀一 「え? そうかな? 普通だよ。立花さんも弟妹可愛いって思うだろう?」
19茜  「茜でいいよ」
14秀一 「じゃあ僕も名前呼びでいいよ」
20茜  「じゃあ秀って呼ばせてもらうね」
21茜  「……まぁ弟妹は可愛いけどさ、うちは歳も離れてるし……秀ってそう言うこと言うタイプにみえなくて」
37一也 「由香はなにお願いするんだ?」
18由香 「やだ! みないで!」
38一也 「『好きな人と両思いになれますように』…………なにぃーっ!?」
15秀一 「可愛いなぁ」
39一也 「これはどういうことだ由香! お兄ちゃんは許さないからな!」
19由香 「もう嫌だお兄ちゃんったら! やめてよ!」
20由香 「(心の声)秀君と両思いって書いてなくて良かった……。でも、秀君自分のことって全く気づいてないなぁ……」
40一也 「由香! きいてるのか!?」
21由香 「もうお兄ちゃんうるさい! 恥ずかしいでしょ!?」
16秀一 「ほら、もう花火が始まるよ」

効果音 花火

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